2014年9月3日水曜日

[小説感想文:風の万里 黎明の空 上下/著 小野 不由美]国とは民で出来ておる。

とある漫画で領主の次男坊が僧侶に向かって言った言葉です。


まずは本の厚さから。

今までと比べて厚く、4冊分位あります。それというのも話が今回は鈴、祥瓊、陽子と三者の話しだからです。
ですので文量的には6冊分なのですが、陽子の旅は月の影 影の海で書かれ、そして後半三者が交わり一つの話となるので4冊分程度でこの厚さなんでしょうね。

この厚さを見て大変そうと思うかもしれませんが、今までのペース、各キャラに対する文章量としては実は同じなので読むのが大変という事はないです。まあ、上下巻じゃなくて4冊構成だって考えると多いのですがw
かなり確りした構成なんだよね。これがプロの安定感ってやつなんだろうね。


さて話ですが、常世がどのような場所が知らず、それを市井に混じりとても不思議な常識で常世の人たちの感覚に戸惑い、それを徐々に理解し現実が判り、それで居て共感も持ち世界を知るといった流れになっています。

海客であり常世が判らない鈴、公女だったが世間を知らなかった祥瓊、王でありながら国の事が判らない陽子と夫々の状況で常世が判らず、でもそこには理解しようとしなかったという事が共通し、旅を重ね人と交わる事で経験して行く事になります。この三者が三角形の夫々の角の様な関係になっており、徐々にその三角形の形が綺麗に収束していくのが醍醐味と感じます。今までの巻に比べると数学的というのかな、見事に答えに導かれる感があります。読み終わってから、最中でも夫々の経験を比べてみると良いかもしれません。


序盤はちょっと低調というか欝というかいらっとくるというのかな、遅い流れではあるのですが後半に向かって収束し加速する面白さをぜひ味わって欲しいなと思える本です。

ということで、一気に最後まで読むべし!


#小説感想文

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