2014年8月26日火曜日

[小説:魔性の子/著:小野小野不由美]逃げたいけど逃げれない世界、それが現実。

ゆっくりと十二国記を読み直すべく、魔性の子です。


この作品は特に最初の一章をじっくり読んで欲しいんだよね。そこでこの本の雰囲気や味が良く判ると思うんよ。特に最初の雪のシーンとかは映像も浮かんでかなり良い。また文章というか表現もちょこっと変わってて味わいあるんよ。それがファンタジー感とでもいうのかな、それがあって作品に入り込み易い。


それと、一章の二つ目のって広瀬の世界なのかな? 実はこれに似た世界に行った事あるんだよね。
うちの場合はそこがコンクリっぽいので板チョコみたいな感じにブロック上になってて、隙間から草が生え、水が10cmくらい有って魚が泳いでたりしてたんだけど、どこまでもそのままで川とかは無かったし橋もなかったよ。ま、旅の途中なのである程度して別の世界に行く事にしたけどさ。この話は白い扉の話のひとつとしてブログに書けたらいいなーと思ってるよ。

此処では無い世界ってほんと魅力だよね。これは今ある現実が逃げれないからこそ、逃げる先として生まれるんだと思う。巻末の解説でもあるんだけど、この小説世界がもう一つの世界で、読者は広瀬なんだよね。この小説はほんと良く出来ているから故に、読者は選ばれなかった、戻れなかった人であり悲しいわけだね。


この小説は初めて読んだ時は、少しだけ十二国記の最初?の離しだという事は知ってたと思ったけど、まだ十二国記を読む前だったので今読むとちょっと印象が違うね。今なら十二国側の状況が判るので、初めて読んだ際の漠然とした恐怖は無く、そうなってしまう悲しさを感じるんだよね。サンシもゴウランも調伏されたけど高里があの状態だから単純な防衛行動しか取らない、取れないんだなーってさ。


魔性の子は十二国記を読む前に読む本だと思うんだけど、読んだ後にも読む本だね。
読み直しのよさがとても出ると思うんだ。


#小説感想文

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